近年、カカオの効果によりダークチョコレートが健康や美容によいと言われ、いわゆる「高カカオ」と呼ばれるカカオ含有量の高いチョコレートが人気を集めています。
しかし、カカオ高配合とはいえ、チョコレートであることには変わりありません。
一昔前までは甘いお菓子の代表格で、どちらかというと体に悪く虫歯にもなりやすい印象が拭えなかった“チョコレート”。
カカオポリフェノールによる健康へのメリットが明らかになるにつれ、そんなチョコレートにまつわるイメージが少しずつ変わりつつあり、さらに甘さを抑えた「高カカオ」のチョコレートまで出現、逆に効果や効能があるとまで噂されますが、
やはり食べすぎはよくないのでは…?
そんな疑問を抱いたため、ダークおよび普通のチョコレートに含まれる脂質や砂糖の割合を調べ、私たちが1日に摂ってよい総エネルギー量と比較して、毎日食べる場合に1日に摂取してもよいと思われるチョコレートの量を考えてみました。
Attention!
●
30~49歳の女性 (身体活動レベルⅡ“ふつう”) を対象に計算していますが、他年代の大人の女性 (18~29歳、50~69歳) でも1日の推定エネルギー必要量に大差はないので、参考にしていただけます。70歳以上の方は別です。
※「推定エネルギー必要量」については
『日本人の食事摂取基準(2015年版)概要』(厚生労働省)を、また「身体活動レベル」については
こちらを参照のこと。
●あくまでも一個人の考えです。
実際にチョコレートの摂取量を判断する場合は、自己責任でお願いします。
●この記事で考える「1日に食べてよいチョコレートの量」は、あくまでも目安です。
実際には、各個人の食生活や運動量などにより異なってきます。
【目次】
★見出しタイトルの一覧です。
ブログの仕様上、リンクはできませんが、スクロールして興味ある個所からご覧ください。
1.国民生活センターが警告 ~ ダークや高カカオのチョコレートも食べ過ぎは禁物!
2.ダークチョコレートには脂肪が多い。食べ過ぎると簡単にカロリーオーバー。
① ダークや高カカオのチョコレートは、約1/2が脂肪!?
② 高カカオチョコレートに含まれる脂肪の割合から考える、1日に食べてよい量とは?
3.普通のチョコレートの半分は砂糖? 食べ過ぎると虫歯・肥満・糖尿病の恐れも。
① WHOの新指針-1日に摂取してよい砂糖の量は、わずかティースプーン6杯分。
② 国連機関はいつも欧米人を対象に考えているから、WHOの指針なんて日本人には関係ない…って本当?
③ 日本における砂糖の摂取基準は、ある? ない?
④ 普通のチョコレートに含まれる砂糖の割合から考える、1日に食べてよい量とは?
⑤ 高カカオチョコレートに含まれる砂糖の割合から考える、1日に食べてよい量とは?
4.【まとめ】脂質と糖質の含有量から考える~1日に食べてよいダークチョコレートや普通のチョコレートの量とは?
① ダークチョコレートの場合
② 普通のチョコレートの場合
③ CHECK! チョコレートのカカオ効果を期待できる1日の摂取量は、ほんの ○○ gで十分!
5.カカオ・チョコレートの効果効能など関連記事のご紹介
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1.国民生活センターが警告 ~ ダークや高カカオのチョコレートも食べ過ぎは禁物!
国民生活センターのWebサイトでは、高カカオと称されるチョコレートには普通のチョコレートよりも脂質の割合が高いこと、またテオブロミンやカフェインといった化学物質も通常のチョコレートより多く含まれるため、幼児やお年寄りの方、あるいは気管支拡張薬テオフィリン等を使用している方は注意が必要であること等が警告されています。
また、普通のチョコレートよりもニッケルの含有量が高いことも、上記のリンク先で指摘されています。
ニッケルは金属アレルギーの発症例が高い物質なので、体質によりアレルギーの気になる方は摂取を控えたほうがよいかもしれません。
しかしやはり、チョコレートを食べる上で一般的に最も注意すべきなのは、何と言っても
脂質と糖分の摂りすぎに陥らないことですね。
そこで以下、ダークチョコレートや普通のチョコレートに含まれる脂質と糖分の割合について詳しく見ていき、私たち (成人女性) が1日に食べてもよいと思われるチョコレートの量を考えてみましょう。
2.ダークチョコレートには脂肪が多い。食べ過ぎると簡単にカロリーオーバー。
① ダークや高カカオのチョコレートは、約1/2が脂肪!?
脂質については、国民生活センターの調査によると、高カカオと称する数種類の市販チョコレートには、平均して100g当たり約47gの脂肪分が含まれているそうです。
ちなみに普通の甘いチョコレートには、平均して約35g/100gの脂質が含まれています。
つまり
高カカオチョコレートは、重量にして半分近くが脂質!ということになります。
こう考えるとちょっとびっくりですよね。
もちろんこの脂質はカカオ由来のものなので、レトルトや加工食品に使われるような安価な精製油脂とは異なり、それなりに効能やメリットもあるのですが、脂肪分には変わりないので摂りすぎるとやはりカロリー過剰となってしまいます。
上記の国民生活センターのサイトによると、仮に高カカオチョコレートを100g食べたとすると、それだけで30~49歳女性が生活習慣病の予防のために目標とすべき脂質の1日摂取量に達してしまうということです。
国民生活センターでは 2005年度版の食事摂取基準をもとに算出しているようですが、これは現在最新の 2015年度版を参照しても事情は変わりません。
② 高カカオチョコレートに含まれる脂肪の割合から考える、1日に食べてよい量とは?
厚生労働省による
「日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要」を元に計算してみますと、30~49歳女性
(身体活動レベルⅡ“ふつう”) における推定エネルギー必要量は 2000kcal/日となっており、また脂質の総エネルギーに占める割合は目標量として“20~30%エネルギー”と設定されています。
つまり
「30~49歳女性が1日に摂取を必要とするエネルギーは 2000kcal であり、そのうち脂質から摂ってよいのは、割合として20~30%だけ」という意味なので、実際に脂質から摂ってよい1日のエネルギー量は 400~600kcal ということになります。
そして脂質は、体内で
1g当たり9kcalのエネルギーに変わる とされています。
ですので、上記の 400~600kcal を9で割って、
1日に摂ってよい脂質量はおよそ 44~66g 程度だと分かりますね。
すると、市販の高カカオチョコレートは総重量の約1/2が脂質だと考えてよいので、これを100gも食べれば、それだけでおよそ 50g の脂質を摂ることとなり、確かに30~49歳女性が1日に摂取してよい脂質量の上限に達してしまうわけです。
つまり、一般的な板チョコが1枚50gぐらいなので、
高カカオチョコレートを1日に板チョコ2枚分も食べていれば、明らかに過剰摂取だと言えるでしょう。
まあそこまで苦いチョコレートばかり食べている人も、あまりいないかもしれません。
しかし、チョコレートは嗜好品なので、三度の食事にプラス間食として食べることが多いと思います。
ですので、朝・昼・夕食のメニューの内容によっては、チョコレートをうっかり多めに食べすぎてしまった…というだけで、総脂質量が1日に摂取してよい限度を越えてしまうことは、いかにもあり得る話です。
脂質の摂取量については、単にチョコレートだけでなく、日頃の食事から摂る脂質量についても十分に注意を払うべきです。
健康のためにチョコレートからカカオを摂取しているつもりが、実は脂質過剰でメタボになってしまった…なんてことにならないように気をつけましょう。
ある研究結果によると、カカオ分40%以上のダークチョコレートを
1日にたった10g、毎日食べれば、
心臓病やその他の病気で死ぬリスクが、カカオをほとんど摂らない場合に比べて50%に減る可能性もあるというデータが出ています。詳しくは下記の別記事をごらんください。
3.普通のチョコレートの半分は砂糖? 食べ過ぎると虫歯・肥満・糖尿病の恐れも。
① WHOの新指針-1日に摂取してよい砂糖の量は、わずかティースプーン6杯分。
国民生活センターのサイトには指摘がありませんが、もう一つ忘れてならないのは、チョコレートによる糖分の摂りすぎのおそれです。
2015年にWHO
(世界保健機関) は、
砂糖や糖類の摂取量を1日摂取エネルギーの5%未満に抑えるべきだとする指針を発表しています。
世界的に深刻化している肥満・糖尿病・虫歯などの生活習慣病の予防を図るためです。
以前からWHOは、砂糖の摂取を総エネルギーの10%未満に抑えるよう推奨してきましたが、さらに積み重ねられた科学的エビデンスを踏まえて、5%未満へと基準を厳しくした形です。
具体的には、引き続いて10%未満を推奨しながらも、
5%より低ければさらに健康増進効果が高いという内容が追加されました。
一般的な成人において、1日摂取エネルギー量の5%分の砂糖と言えば、およそティースプーン6杯分に相当するそうです。
※ 参考サイト
日本経済新聞「1日の糖類は小さじ6杯分まで WHOが新指針」
② 国連機関はいつも欧米人を対象に考えているから、WHOの指針なんて日本人には関係ない…って本当?
国連や世界機関は欧米人を主な対象として考えているから、日本人の健康や食事事情には当てはまらない…WHOの発表についてはそのように捉える日本人も多いようですが、実はそうではなく、今や
糖類や肉類の過剰摂取は、新興国のアジア・インド・アフリカなどの、それも富裕層だけでなく中間から貧困にかけての社会層においても深刻な社会問題となりつつあります。
なぜ決して富裕とは言えない階層にそのような問題が広がっているのかというと、安価なジャンクフードやレトルト食品にこそ、精製された砂糖や油脂、そして脂身の多い安価な肉類がたくさん使われがちだからです。
とにかくそのような世界事情を鑑みた上、各国で研究された科学的エビデンスの集積に則って正式に示されたWHOの指針は、私たち日本人にとっても決して無関係ではないものと私は考えます。
糖類・油脂・肉類がたくさん使われた安価なジャンクフードやレトルト食品が広く普及している…これはまさに現代の日本の食を取り巻く状況ですからね。
③ 日本における砂糖の摂取基準は、ある? ない?
ちなみに日本国内では未だに、糖類摂取の基準が厚生労働省からは明確に発表されていません。
その理由としては、日本人において糖類摂取に関する調査や研究が不十分であり、その基準を設けるだけの科学的根拠が不足しているため、とのことです。
こちらのリンク先を読むと、今度新たに策定される「日本人の食事摂取基準(20年版)」に糖類の摂取基準が初めて記載されるかのような内容であり、少し期待してしまいます。
ですが、厚労省のサイトにある
食事摂取基準(20年版)策定委員会の資料 (
※) を覗いてみますと、やはり糖類については、日本人の摂取実態を把握するための研究データの蓄積を今後の課題とし、糖類の健康に及ぼす影響に関しては「定性的記述を追加する」ことで、これまでとの変更点としているようです。
※ 第3回「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会資料
「ワーキンググループからの報告事項について(策定方針及び策定の基本事項等)」PDFの21ページを参照。
つまり
「科学的データが少ないから具体的な基準の数値は明らかにしないけど、やっぱり糖分の摂りすぎはよくないから注意してね、という旨の文言はちゃんと記載します」ということのようですね。
これでは、はっきり言って無意味でしょう。
なぜって糖分を摂りすぎてはいけないことぐらい国民の誰もが知っているわけで、でもそれではどこまでが許容範囲でどこから先が“摂り過ぎ”なのか? がよく分からないから、具体的な摂取制限の方針が立たず困っているわけです。
さまざまな研究機関や大学、メーカーがこぞって○○という食品や成分の効果効能を事細かに解析して「これこれこのような効果があるからヘルシーです!」なんて内容を次々と学会で発表し、新商品の宣伝に大いに役立てているというのに、最も基本的な糖類の摂取基準を定めるだけの研究が国家規模で未だに進まないなんて、本当にどういうことなのでしょうか?
やはり食品業界の反発が邪魔をしているとしか考えられないのではないでしょうか。
それなら、一体いつになったら国民の砂糖の摂取状況の調査が進み、具体的な限度量を定めるだけの科学的エビデンスが蓄積されるのか、厚労省が糖類摂取基準を策定する見通しは全くほど遠いと言わざるを得ません。
※参考資料:
Buisiness Journal「厚労省、20年に日本初の糖類摂取量基準策定へ~消費者庁の対応次第では非表示の懸念も」
第3回 日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会資料「ワーキンググループからの報告事項について」
④ 普通のチョコレートに含まれる砂糖の割合から考える、1日に食べてよい量とは?
話が逸れてしまいましたが、このようなわけで日本国内における糖類の摂取基準が存在しませんので、前述のWHOが示している指針を元に考えたいと思います。
一例として某メーカーのミルクチョコレート50gのうち、栄養成分表示によると「糖質」は25.7gとなっています。
この糖質とは、原材料から考えてそのほとんどが“砂糖”に由来するものと思われます。
つまり、高カカオチョコレートにおいては重量にして約半分が脂質でしたが、ミルクチョコレート等に代表される
普通のチョコレートにおいては、その約半分は糖質≒砂糖による糖分なのです。
厚生労働省が示している
「日本人の食事摂取基準 (2015年版) の概要」によりますと、30~49歳女性が1日に摂取してよいエネルギー量は 2000kcal となっています。
そしてWHOが示した基準では、そのうち砂糖などの糖類から摂ってよいエネルギーは5%、多くても10%まで、とのことですので、2000kcal の5~10%、つまり 100~200kcal 分の糖類を1日に摂取してよいことになります。
糖類1gは体内で約4kcalのエネルギーに変換されるので、100~200kcal分の糖類を重量に直すと25~50gとなります。
つまり30~49歳の女性については、
1日に摂取してよい糖類の量は、厳しい新基準の5%で考えると25gまで、従来からの10%で考えても50gまで、となります。
ちなみに18~29歳、50~69歳の女性についても大差はありません。
(18~29歳女性の推奨される1日摂取エネルギー量は1950kcal、50~69歳女性は1900kcal)
そして上に見たように、
砂糖25gといえば、一般的な板チョコ1枚に含まれる量です。
高カカオのチョコレートを一度に50g食べることはまれかもしれませんが、通常の板チョコなら、チョコレート好きの方であれば場合によってはぺろりと?平らげてしまうかもしれませんね (^^;)
しかしそこに、食事に使われる砂糖や糖分も含めれば…
WHOが勧告している1日の糖類摂取量を軽く越えてしまうことになります。
チョコレートだけでなくお菓子を食べたり、缶ジュースや甘味料入りのコーヒー・紅茶を飲むこともあるでしょう。
さらには三度の食事に出るおかずにも、酢の物・煮物・炒め物などに砂糖は調味料として使われます。ソースやケチャップにも砂糖が添加されています。
それらを考え合わせると、やはり脂質の摂取と同様に、チョコレートを食べるときだけでなく、
日頃の間食や食事においてできるだけ糖分の摂取を控えるよう心がけることが大切です。
その上で、普通のチョコレートを毎日食べるなら、
多くても1日に板チョコ 1/5~1/3枚 (10~17g程度) に抑えておくのが無難でしょう。
⑤ 高カカオチョコレートに含まれる砂糖の割合から考える、1日に食べてよい量とは?
高カカオチョコレートに含まれる糖分については、一例として某メーカー製のカカオ成分72%を含むチョコレート商品において、栄養成分表示に
「(5g当たり) 糖質1.6g」と記載がありました。
↓↓こちらですね。
つまりこのチョコレート商品の場合、重量にして約30%が砂糖であると考えられます。
この72%チョコレートを、板チョコ1と2/3枚分の量を食べれば、WHOの勧告から計算した1日25gの砂糖摂取限度量を越えてしまいますね。
高カカオのチョコレートを1日にそれほどたくさん食べるケースは、少ないかもしれませんが、
間食だけでなく通常の食事から摂る砂糖の量も考慮しなければならないでしょう。
ですので、
多くても1日に板チョコ1/3~1/2枚分程度 (およそ15~25g) に抑え、それ以上は控えたほうがよいでしょう。
近頃さかんに健康や美容の効果が噂される高カカオのチョコレートであっても、やはり過剰摂取とならないように気をつけたいものです。
※参考資料:
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要」(pdf)
食品安全委員会「世界保健機関(WHO)、ガイドライン「成人及び児童の糖類摂取量」を発表」
4.【まとめ】脂質と糖質の含有量から考える~1日に食べてよいダークチョコレートや普通のチョコレートの量とは?
① ダークチョコレートの場合
ダークや高カカオのチョコレートは、脂質の含有量の高さが目立ちますが、同時に糖分が総重量の3~4割を占め
(カカオ分72%のチョコレートの例) 、意外にも砂糖が多く含まれていることが分かります。
一般的な成人女性が1日に摂るべき総エネルギー量2000kcalから考えた場合、1日に摂ってよい脂質および糖分の量、そしてこれを単純に高カカオチョコレートの重量に置き換えた量を、以下にまとめてみます。
●脂質 (から考えた場合)
- 1日に摂ってよい脂質の総量…約44~66g (分かりやすく真ん中を取って、約55g)
- 高カカオチョコレートに含まれる脂質の割合…約50%
- 1.と 2.から計算した、1日に摂ってよい脂質量が含まれる高カカオチョコレートの重量
…約110g
つまり、1日に高カカオチョコレートをおよそ110g (板チョコにして約2枚強) も食べれば、1日に摂取が許容される脂質の限度量に達してしまうことになります。
●糖分 (から考えた場合)
- 1日に摂ってよい砂糖の総量…約25g (未満)
- 高カカオチョコレートに含まれる砂糖の割合…約30%
- 1.と 2.から計算した、1日に摂ってよい砂糖量が含まれる高カカオチョコレートの重量
…約83g
つまり、1日に高カカオチョコレートをおよそ83g (板チョコにして約1枚と2/3枚) も食べれば、1日に摂取が許容される砂糖の限度量に達してしまうことになります。
さらに、1日のうちに食べるのはチョコレートだけではありません。
他の間食や飲み物、そして三度の食事においても、私たちは自分が思う以上に脂質も糖分も多く摂取しています。
それらを考え合わせると、毎日のチョコレートの摂取は、
たとえダークや高カカオであっても、せめて板チョコ1/3~1/2枚分 (約16~25g) に抑えておきたいところです。
② 普通のチョコレートの場合
俗に“ミルクチョコレート”等の名称で販売されることも多い、カカオ分の少ないいわゆる普通のチョコレートは、糖分が総重量の約半分を占めます。
また脂質の含有割合は、国民生活センターの調査によると、平均して約35%だということです。
一般的な成人女性が1日に摂るべき総エネルギー量2000kcalから考えた場合、1日に摂ってよい脂質および糖分の量、そしてこれを単純に普通のチョコレートの重量に置き換えた量を、以下にまとめてみます。
●脂質 (から考えた場合)
- 1日に摂ってよい脂質の総量…約44~66g (分かりやすく真ん中を取って、約55g)
- 普通のチョコレートに含まれる脂質の割合…約35%
- 1.と 2.から計算した、1日に摂ってよい脂質量が含まれる普通のチョコレートの重量
…約157g
つまり、1日に普通のチョコレートをおよそ157g(板チョコで約3枚強)も食べれば、1日に摂取が許容される脂質の限度量に達してしまうことになります。
●糖分 (から考えた場合)
- 1日に摂ってよい砂糖の総量…約25g (未満)
- 普通のチョコレートに含まれる砂糖の割合…約50%
- 1.と 2.から計算した、1日に摂ってよい砂糖量が含まれる普通のチョコレートの重量
…約50g
つまり普通の甘いチョコレートの場合は、およそ83g(板チョコ約1枚)を食べただけで、1日に摂取が許容される砂糖の限度量に達してしまうことになります。
さらにチョコレートだけでなく、他の間食や飲み物、そして朝・昼・夕の食事においても、私たちはたくさんの脂質も糖分を摂取しています。
それらを考え合わせると、普通の甘いチョコレートを毎日食べるならば、
多くても1日に板チョコ1/5~1/3枚 (10~17g程度) に抑えることを強くおすすめします。
③ チョコレートのカカオ効果を期待できる1日の摂取量は、ほんの ○ gで十分!
ダークや高カカオのチョコレートは一般的に総重量の4~8割、普通のチョコレートでも3~4割のカカオ分を含んでおり、
別記事にご紹介したカカオポリフェノールの効果を期待できるのは事実のようです。
しかし、ミルクにしろダークや高カカオにしろ、
チョコレートは基本的に、脂質や砂糖の含有量が高い食品です。
従来から言われるように、脂質の摂りすぎがカロリーオーバーとなり、高コレステロールや動脈硬化を招く要因となり得ることは間違いありません。
しかし近年では特に、
砂糖や異性化液糖をはじめとする糖分の過剰摂取が、高血糖やインスリン抵抗性によって血管を老化させ、高血圧・心臓病・ガンなど深刻な生活習慣病のリスクを増加させることが明らかになっています。
決して砂糖を甘く見てはいけないということです。
脂質とともに砂糖をもたくさん含んでいるチョコレートは、くれぐれも食べ過ぎないよう注意が必要です。
では、毎日チョコレートを食べてカカオの効果を得たいと思うなら、1日に最低限どれぐらいのチョコレートを食べれば十分なのでしょうか?
答えは…
“ほんの少量” でいいんです。
毎日たった10g程度のダークチョコレート(カカオ分40%) を摂取することで、高血圧を予防し、心臓病やその他あらゆる要因による死のリスクを低減させる可能性を示唆する研究結果が存在します。
この研究は、オランダの高齢者を470人を15年間にわたって追跡調査したもので、資金提供もオランダの公的な医療関係機関などによって行われており、信頼に値する科学的データです。
カカオ分40%のチョコレートで10gということは、
カカオ分70~80%のチョコレートなら、1日にわずか5gも食べれば十分だということになります。
チョコレート5gといえば、板チョコにして約1/10、また某メーカーの『カカオ効果○%』シリーズの商品ならたった1枚です。
これなら、チョコレートから摂ってしまう糖分もわずか 1.5gで済みます。
これは、1日に摂取してよい砂糖の限度量のわずか6%にしかなりませんので、とりあえずは糖分の過剰摂取を気にしなくてよいですね。
上記にご紹介したオランダにおける高齢者研究についての具体的な内容と解説は、下記の別記事に詳しくまとめましたので、参考にご覧ください。
5.カカオ・チョコレートの効果効能など関連記事のご紹介