SSブログ

【黒後愛と春高バレー】成徳2連覇への涙の軌跡を詳しくご紹介~ミライモンスター1月22日放送より~


no-title
画像出典:産経ニュース
このブログでも過去に特集したことのある、高校女子バレー界のスーパーエース、黒後愛さん。

彼女もすでに3年生。
今年(2017年)の春高バレーでは、名門中の名門、下北沢成徳高校の絶対的エースとして、見事にチームを2年連続優勝に導きました。
自身も、2年連続のMVP(最優秀選手賞)を受賞。

新春早々、日本中のバレーボールファンを沸かせた黒後選手に密着した、フジテレビ系「ミライ★モンスター」1月22日放送内容を元に、黒後さんの高校3年間と成徳チーム春高バレー2連覇への軌跡をまとめてみました。

※過去の番組内容が若干前後しているところもあります。

【目次】

★見出しタイトルの一覧です。
ブログの仕様上、リンクはできませんが、スクロールして興味ある個所からご覧ください。

1.過去の「ミライモンスター」放送から

① 第1回目 2015年1月放送
② 第2回目 2016年2月放送
③ 第3回目 2016年10月放送

2.今回のミライモンスターの放送内容~成徳春高2連覇!歓喜の裏側に見るさまざまなドラマと涙

① 最強のライバル金蘭会高校、まさかの準決勝敗退。黒後愛vs宮部愛梨の直接対決はならず。
② 3年間ともに汗を流したチームメイトや親友への思い。
③ 名門成徳の次世代エースへ見事なバトンタッチ。
④ そして ― ついに念願の春高2連覇を達成!

3.黒後愛さん関連記事のご紹介









1.過去の「ミライモンスター」放送から


① 第1回目 2015年1月放送


no-title【黒後愛さんの全てが分かる①】最高到達点も超高校級!木村沙織を超えるかも?


小学校からバレーを始め、強豪ジュニアチームに所属。
中学校の頃から全国大会出場(?)、全日本ジュニア強化チームに選抜され、同じく高校女子バレー界のスーパーエースとして名高い大阪・金蘭会高校の宮部愛梨らとともに海外試合も経験するなど、注目されていました。

そして成徳高校に入学早々、1年生ながら超名門チームのエースとして指名を受けます。
周囲もうらやむ大抜擢ですが、黒後さん本人はかなりのプレッシャーを感じてきた模様。
『ミライモンスター』初出演時のインタビューでは
「(スパイクが)決まらないときは…つらかったです」と涙をにじませる場面も。

けれども黒後選手には、頼もしいチームの仲間たちとともに、いつもそばで支えてくれる親友の存在がありました。
彼女の名前は、富沢麻里香(まりか)さん。
黒後さんの同級生で、同じく成徳のバレー部で苦楽を共にするメンバー。
彼女は黒後さんと違って補欠ではありますが、黒後さんと大の仲良しで、走り込みなど練習の時にはいつも2人が連れ立っているのが見られました。

黒後選手はいつも明るく、自身の落ち込みや緊張感などを周囲に見せないタイプですが、この麻里香さんにだけは、エースとしての迷いや悩みを打ち明けていたようです。
麻里香さんは「一緒にコートに入って戦うことはできないが、話を聞いてあげたりするというところで愛を支えてあげられたらいいなと思います」とインタビューで語り、スーバーエースである愛さんを一人の大切な友達として気遣っていました。



② 第2回目 2016年2月放送


no-title【黒後愛さんの全てが分かる②】女子バレー界ニューヒロインの密かな涙とは…?


黒後選手も2年生となり、早くも東京オリンピック強化選手に指名されていた彼女は、U-18の世界選手権など国際舞台も経験し、充実したバレー生活を送りました。

しかしその一方、左足首のケガのため、長い不調に苦しみました。
成徳チーム自体も、インターハイと国体には出場できず、全日本高校選手権(=春高バレー)には開催地枠でかろうじて参加するなど不振が続きます。
また、黒後さんの実力が広く知れ渡るにつれ、他チームのマークも厳しいものとなり、本番の試合でなかなかスパイクが決まらない試練の日々が始まりました。

けれどもそこは、全国各地からトッププレーヤーの集まった、意識の高い成徳チームのメンバー。
自分たちで何度もミーティングを行い、先輩後輩の区別なく率直に胸のうちをぶつけ合いながら、チーム再生への道を手探りしていきます。
特に、すでにエースの座を不動のものにしている黒後選手には、それまで上級生の3年生ですらも、どこか遠慮して本心を言えない雰囲気もあったといいます。
しかし本気のミーティングが進むにつれ「愛は確かに凄い選手だけど、自分の調子が悪いときはボールを呼ぼうとしない。そういうのはチームにとってもよくないと思う」など厳しい意見も出されるようになりました。
黒後選手も考えさせられ、心を新たにするところがあったようです。

また、スパイクが全てブロックされてしまう状況への対策としては、逆にそれを利用して相手のワンタッチを取る練習を徹底的にやり込みました。
その結果、春高バレーでは成徳は息を吹き返した強さで勝ち上がり、決勝戦では、1歳年下の注目エース東谷玲衣奈(トウコクレイナ)の率いる東京・八王子実践高校を見事に下し、3度目の優勝を手にしました。
そして黒後選手自身も、2年生にして初のMVPを獲得。

その後、3年生が引退した新チームでは、親友の富沢麻里香さんがキャプテンに選ばれ、スーパーエース&キャプテンという強力なコンビを組み、成徳チームは2017年に向けて再始動しました。



③ 第3回目 2016年10月放送


新入生の頃から名門校のエースを張り、並々ならぬ重圧に時には涙した黒後選手も、ついに最上級生となりました。

彼女には、中学生の頃から全日本ジュニアチームでともに汗を流し、高校バレーでは常に優勝を争って鎬を削る強力なライバルがいます。
それは、大阪・金蘭会高校の宮部愛梨選手。
最高到達点なんと309cmを誇る、超高校生級のスーパーアタッカーです(全日本女子バレーメンバーの平均は305cm)。
その飛び抜けた攻撃力を買われ、宮部選手は高校2年にして全日本メンバーに選出され、2015年7月のワールドグランプリではスターターとして出場、イタリアを相手に18得点を挙げるという鮮烈なデビューを果たしました。
いわば黒後選手の半歩先を行く存在。
2人は、名実ともに高校女子バレー界のトップ2と言えます。

黒後選手も春から、成徳の三冠を目標に厳しい練習に取り組んできました。
高校バレーの“三冠”とは、8月のインターハイ、10月の国体、そして1月の全日本高校選手権(春高バレー)の3試合全てに優勝すること。
下北沢成徳は、夏のインターハイで見事に優勝を果たしました。
しかし秋の国体では、決勝で金蘭会に敗れ、準優勝に終わります。
まさかのストレート負けという、大変悔しい敗北でした。

黒後選手は試合後に「今回の国体はあんまりレシーブの面で粘って勝ち取る場面が少なかった。そこをもっと金蘭会と張れるぐらいレシーブ力を上げていきたいです」と国体での敗因を分析。

名門成徳バレー部の監督を40年近くも務める名将中の名将、小川良樹(61)監督は、選手たちに次のように言いました。
「金蘭会は細かいところ(レシーブ)をしっかりやっている。あなたたちは(スパイクは)凄いんだけど、そういうところが荒い。やれば1日や2日でも修正できるから」
チームの弱点を厳しく指摘していますが、それと同時に、選手たちを弱いと決めつけるのではなく、『勝つにも負けるにもきちんと理由や原因がある』という勝負の根本理論に立つとともに、そこを分析して解決の目処を冷静に付けた上で、「1日や2日でも修正できる」と選手にはっきり告げることで、彼女たちの意欲をとても効果的に引き出しているように思います。

金蘭会の宮部選手の最高到達点は309cm。
全日本女子の平均をも超えるほどの高さから繰り出される強烈なスパイクは、どんなに必死でブロックしても指先に当てるのが精一杯。
結果、思わぬ場所にボールが飛んでしまい、レシーブが間に合わずワンタッチを取られてしまうのです。
そこで選手たちは、自チームのブロックに見立てた板をネット際に立て、宮部選手のスパイクを想定して思いっきりボールを当てて、弾け飛んだボールを受けとめる練習を重ねました。






2.今回のミライモンスターの放送内容~成徳春高2連覇!歓喜の裏側に見るさまざまなドラマと涙


今回(2017年1月22日)のミライモンスターでは、黒後選手4回目の特集。
『ライバルと切磋琢磨し勝ち取った栄冠!最強校エースの魂を次の世代へ繋げ』と題して放送されました。

国体での敗戦から雪辱の思いを秘めて臨んだ、1月4~8日の春高バレー。
結果として、下北沢成徳は見事に優勝。
2年連続、4度目の日本一を達成し、我らが黒後選手は2年連続のMVP(最優秀選手賞)を受賞しました。

番組では、そのクライマックスの試合前から成徳チームと黒後選手に密着し、見事な栄冠に至るまでの舞台裏を取材しています。



① 最強のライバル金蘭会高校、まさかの準決勝敗退。黒後愛vs宮部愛梨の直接対決はならず。


春高開会前、黒後選手はインタビューで「金蘭会に勝ちたいですか?」と聞かれ、
「うん。今回は…勝たなきゃ!」と、いつもの愛くるしい笑顔の中にも並々ならぬ緊張と決意を覗かせながら答えていました。
一方、金蘭会の宮部選手も
「最後はやはり決着というか、最後の最後で(黒後選手と)勝負したいです。(決勝には)上がってきてくれないと困ります」と、自らをも鼓舞する強気の発言。
お互いのみでなく、周囲からも高校女子バレー界を代表するトップ2と見なされてきただけあって、2人はともに国際舞台でプレーする大切な仲間でありながら、拮抗する無二のライバルとしてかなり意識し合うものがあるようです。

しかし、いざ本番が始まってみると、勝負の世界に番狂わせは付き物。
男子では星城(愛知)や東福岡、女子では鎮西(熊本)など、優勝候補の筆頭とも言えるチームが次々と1~2回戦で姿を消していきます。
そんな中、かの金蘭会高校も、準決勝で岡山代表の就実高校を相手にフルセットの激戦の末、ついに敗退。
決勝進出はならず、黒後選手と宮部選手の一騎打ちは実現しませんでした。

試合後、宮部選手は涙に暮れながら、「(黒後率いる成徳と)戦いたかったけどそれができないので、自分たちの気持ちを託して…日本一になってほしいです」と、悔しさをも滲ませながらコメント。
しかし、翌日の成徳vs就実決勝戦の終了後には、勝利を決め歓喜に沸く成徳チームに客席から拍手を送る宮部選手の姿がありました。



② 3年間ともに汗を流したチームメイトや親友への思い。


成徳高校は毎年、春高バレー直前の年末年始、長野県のスキー場で強化合宿を実施しています。
標高1250m、氷点下1度の雪山で2日間、走り込みとコート練習をみっちり行い、激闘を控えた選手たちの心肺機能・持久力を高めるとともに、本番を想定したプレー面での最後の特訓をします。

今回の合宿で、黒後さんたちが時間を割いて重点的に行ったのは、ブロックで弾かれたボールを粘り強くレシーブで繋ぐ練習。
宮部選手という強力なライバルがいたからこそ見えた自分たちの弱点を、徹底的に強化します。
こうして成徳チームは、定評のある攻撃力に加え、守備力をも一層厚くし、盤石の強さを備えて春高バレーに臨んだのです。

そんな中、黒後選手は、春高で優勝したいという気持ちとは別に、ある拭いきれない思いを抱えていました。
それは、春高バレーが終わるとともに、自分を含め3年生がみな引退してしまうこと。
「寂しいですね。同級生と離れるのが一番寂しい」
「終わりたくない(笑)。この合宿をずっとしていたい」と宿舎で語る黒後選手。

夜、3年生4人が自然と集まり、輪になって語らいました。
特に、補欠でありながら親友としてキャプテンとしてずっと支え続けてくれた、富沢麻里香さんとの別れが迫り、これにはひとしおの感慨があるようです。
卒業後、黒後選手は実業団へ、そして富沢さんは大学に入学し、バレーボールを続けるとのこと。
もう麻里香さんのサーブをキャッチする練習もできなくなる…黒後さんがそんなことを言うと、麻里香さんが「これからも呼んでくれたら“出張サーバー”としていつでも行くよ」とジョークで笑う場面もありました。

そんな、3年間の全ての思いを込めた春高バレー、黒後選手はかけがえのない仲間とともに見事に成徳を日本一に導き、高校バレーの集大成としてこの上ない有終の美を飾ったのです。



③ 名門成徳の次世代エースへ見事なバトンタッチ


名だたる成徳高校の絶対的エースである黒後選手には、もう一つ、やらなければならない大事な仕事が残っていました。
それは、次世代を担う新エースへのバトンタッチです。

引退後の新チームで次期エースの座を託されるのは、1年生の石川真佑(まゆ)さん。
知る人ぞ知る全日本男子のエース、あの石川祐希(ゆうき)選手の妹さんです。
彼女もまた、兄譲りの素晴らしいスパイカーであり、黒後選手が海外遠征でチームを離れている間には1年生ながらエースを任された経験もある実力者です。

しかし、彼女がエースを務めた昨年7月の公式戦では、今まで負けたことのないチームに敗北を喫してしまいました。
試合後、石川さんは「3人(黒後選手ら3年生)がいなくても、残されたメンバーで勝ちたかった」と涙を見せながら自らの力不足を悔やみました。
黒後選手と同じように、1年生にしてエースとしての重圧を知った石川選手。
そんな彼女に黒後さんは、先輩エースとしてどうしても伝えておきたいことがありました。

長野の高地合宿から帰京し、いよいよ春高バレーの前日。
黒後さんは1年生の石川さんをそばに呼びました。
黒後さん「試合が楽しいって、分からないでしょ?」
石川さん「うん」
黒後さん「出ないもんね。表情にね」
石川さんは元々あまり感情を表に出すタイプではないようで、チームメイトからもクールと評されています。
それに加えて、1年生エースというプレッシャーから、試合ではどうしても“プレーする楽しさ”よりも“緊張感”のほうが強くなり、無意識に表情がこわばってしまうのかもしれません。
「自分の感情は、うまく伝えられるようになったほうが絶対にいいよ。何を考えているか分からない人が、(周りにとってチームプレイが)一番難しいから」
黒後さんは笑いながら終始和やかな雰囲気で、しかしポイントはずばりと指摘します。

感情を表に出さず冷静に対処できることも、競技においてはある意味強力な武器になるときもあるでしょう。
ただ黒後さんは、ミスしても落ち込まず、積極的に声を出すなど感情を露わにすることでエースとしての気概を示し、みんなの気持ちを一つにまとめて自らチームを引っ張っていくことの大切さを伝えようとしたのでしょう。
それがこれまで黒後さん自身も実践してきた、名門成徳のエースに求められる伝統的な心構えでもあります。
最後に石川さんは「ミスしてもしっかり声を出して、チームの雰囲気をよくできるようにします」と答え、笑顔のうちにも気持ちを新たにしたようでした。



④ そして ― ついに念願の春高2連覇を達成!


初戦から、成徳は期待通りの強さを見せてあっという間に勝ち上がります。
準決勝までに落としたのは、鹿児島女子高校を相手にわずか1セットのみ。

そして迎えた決勝戦、黒後選手の初得点を皮切りに成徳は2セット連続先取。
第1セットの終わりには、親友でありキャプテンの富沢麻里香さんがピンチサーバーとして登場。
そこから見事に得点するなど、黒後選手にとってもひときわ嬉しい場面もありました。

ところが第3セットから少し雲行きが変わってきます。
相手の就実高校のブロックが次第に精度を上げ始め、黒後選手のスパイクをきっちり阻む場面が増えてきたのです。
畳み込むべき肝心のセットでなかなかポイントが決まらず、コートで悔しそうに天を仰ぐ黒後選手。
ベンチで見守る富沢さん始めチームメイトも、不安げな表情に変わってきます。

そんなとき、チームの危機を救ったのが、あの1年生エース、石川真佑さんでした。
不調の黒後選手に代わって自ら積極的にボールを呼び込み、鋭いスパイクを相手コートに次々と叩き込んでいきます。
実況中継するアナウンサーも思わず
「石川、強烈なスパイク! 3年生が決まらないなら私が!
と石川さんの気持ちを代弁?してしまうほどの大きな盛り上がり。
そこには、今までとは違って常に大きな声を出し、会場全体を飲み込むほどエースとして勝利への思いをむき出しにする石川選手の姿がありました。

見事に優勝を決めた歓喜の試合終了後、石川選手と肩を抱き合ってインタビューに臨んだ黒後さん。
「石川選手にだいぶ助けられましたね」と投げかけた記者に対して、
「バレました? 私、何にもしてないです(笑) 今回は(勝利に貢献したのは)本当に石川です。私は何もしてない」と次期エースの素晴らしい活躍と成長を、引退を迎える3年生としてともに喜びました。

また、富沢麻里香さんとも何度も抱擁しあい、互いの3年間の汗・涙・友情・健闘をたたえ合いました。
富沢さん「ありがとう、すまなかったね、本当に」
黒後さん「本当、よかったわ、この3年間」
苦しいことやつらいこともたくさんありましたが、周りの笑顔や頑張りに支えられ、最高の仲間と最高の形で高校バレーを卒業できたようです。

最後に「これからの目標は?」と聞かれ、
「オリンピック選手になります!」
と少しはにかみながらも笑顔で答えた黒後選手。
2020年の東京オリンピックを目指し、高校バレーのエースから日本のエース、そして世界のエースへと大きくはばたいていくことでしょう。



3.黒後愛さん関連記事のご紹介


●【黒後愛さんの全てが分かる①】最高到達点も超高校級!木村沙織を超えるかも?
●【黒後愛さんの全てが分かる②】女子バレー界ニューヒロインの密かな涙とは…?
●【黒後愛さんの全てが分かる③】父も姉も春高バレー経験者
●【黒後愛さんの全てが分かる④】画像多数★可愛い・爽やか・カッコいい!
●春高バレーの活躍4人!「ミライモンスター」で紹介①~黒後愛・宮部藍梨








nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:スポーツ

マグネシウムはCaよりも意識して!骨を強くする栄養素を120%詳解


no-title骨を構成する成分の8割以上を占めるカルシウムが大切なことは言うまでもないですが、そのカルシウムと同じくらい重要性を意識して摂取しなければならないミネラルがあります。

それが、マグネシウムです。

体内のカルシウムに対してマグネシウムが比率的に不足すると、細胞のさまざまな機能不全が生じます。

マグネシウムは、細胞内のカルシウム量を調節し、またカルシウムに拮抗してカルシウムの強い活性作用をやわらげることで、私たちの体調バランスを整えてくれるのです。

近年、日本人の和食離れが深刻なマグネシウム不足をもたらしています。
この記事をご覧になって、単に骨を強くするばかりでなく、私たちの健康全般にとってマグネシウムがいかに大切かを知っていただき、日頃の食生活を改めて見直すきっかけにしていただければ幸いです。

【目次】

★見出しタイトルの一覧です。
ブログの仕様上、リンクはできませんが、スクロールして興味ある個所からご覧ください。

1.マグネシウムが骨を健康に保つ仕組みとは?

① 骨の主要成分としてのマグネシウムの重要な働きとは?
② 骨を守るのに欠かせないCaをサポートするMgの働きとは?

2.骨以外にも体の健康に欠かせない、マグネシウムのとても重要な働きとは?

① 細胞内外のミネラル・バランスを維持し、細胞内のカルシウム量を調整する
② カルシウムと拮抗し、カルシウム作用の効き過ぎを防いで体内機能を調整する

3.マグネシウムの効果的な摂り方を具体的にお教えします。

① カルシウムとマグネシウムはどれぐらいの割合で摂ればいいの?
② マグネシウムを多く含むのは、どんな食べ物?

4.骨を強くする栄養素 関連記事のご案内









1.マグネシウムが骨を健康に保つ仕組みとは?


① 骨の主要成分としてのマグネシウムの重要な働きとは?


カルシウムやリンとともに、マグネシウムもまた骨を構成するのに欠かせない材料の1つです。

別記事『骨を強くする栄養素を120%詳解!①骨粗鬆症予防にカルシウムだけでは駄目です。』でも、人間の骨や歯の主要成分の割合について述べました。

・無機物…約70%
・有機物…約22%
・水分…約8%


no-title有機物とは主に繊維性のコラーゲンであり、鉄筋コンクリートで言うところのいわば“鉄筋”の部分。

そしてその鉄筋の周りに塗り固められたコンクリートの役割を果たすのが、ヒトの骨の約7割を占める“無機物”、つまりミネラル類です。

このミネラル類の骨における比率は、

・リン酸カルシウム…約85%
・炭酸カルシウム…約10%
・リン酸マグネシウム…約1.5%


リンと結びついたカルシウムが主に骨の硬さ・強度を与える働きをするのに対し、リン酸マグネシウムは、骨に柔らかさ・弾力性を与える働きをしています。

わずか1%程度しか含まれていないMgのおかげで、私たちの骨はただ硬いばかりでなく、少々の衝撃にも力学的に対応できる柔軟性をも備えています。



② 骨を守るのに欠かせないCaをサポートするMgの働きとは?


骨において、カルシウムはリンと結びついてヒドロキシアパタイト(≒リン酸カルシウム)という極めて硬い物質となり、コラーゲンに厚く付着して、あたかもコンクリート壁のように骨に硬度を与え、骨を守ります。

ですから、カルシウムの不足は骨をもろくし、骨粗鬆症や骨折のリスクを高めます。

このカルシウムの細胞への取り込みと排出を調整し、カルシウムを過不足なく全身に行き渡らせる役目をしているのが、マグネシウムです。


また、あとで詳しく述べますが、マグネシウムは骨以外にも筋肉や血管など、身体中のあらゆる組織でとても大切な働きをしています。
ヒトの血液内では常に、一定のMg量が不足しないよう厳密に管理されています。

ですから、血液中のMgの濃度が一定レベルより少しでも下がると、体はMgを補給すべく、骨を溶かしてそこに含まれるMgを補給しようとするのです。
ところがこのとき、一緒に骨のCaまでもが溶かし出されてしまいます。

その結果、今度は骨にカルシウムが不足してしまい、骨が弱くなってしまいます。
つまり、マグネシウムの摂取量が少なくなると、骨に必要なカルシウムまでが足りなくなってしまうのです。


また、Caを細胞内外に出し入れするMgが足りなくなると、Caばかりをどれだけたくさん摂っても骨など必要な場所に行き届かず、骨はスカスカなのに血管など余分な場所にカルシウムが溢れて動脈硬化を来たすなど、さまざまな不具合が起こってしまいます。

このようにマグネシウムは体内のカルシウムをうまく活用するサポート因子として不可欠なので、常日頃から食べ物より摂取する必要があります。

マグネシウムを多く含む食品については、この記事の下のほうで詳しくご紹介しています。



2.骨以外にも体の健康に欠かせない、マグネシウムのとても重要な働きとは?


マグネシウムは骨の健康に必要なだけでなく、その他の体内の組織においても、

・筋肉の働きを調整する。
・血液を固まりにくくする。
・インスリンの分泌を促進する。

などの大切な作用があり、私たちの体内機能にさまざまな影響を及ぼしています。


しかし、マグネシウムの役割で最も重要なのは、

① 細胞からのカルシウムの出入りを調節すること。
② カルシウムの働きと拮抗しながら体内機能のバランスを取ること。


この2つです。

これらのマグネシウムの働きについて、詳しく見ていきたいと思います。



① 細胞内外のミネラル・バランスを維持し、細胞内のカルシウム量を調整する


ヒトの体は、細胞の内外にさまざまな必要なミネラルを保持しています。
そしてこれらのミネラルには、細胞膜を挟んだ内側と外側とで濃度差があります。

細胞の内部にはマグネシウムやカリウムが多いですが、外側の外液にはカルシウムやナトリウムが多いのです。
細胞がきちんと機能するためには、この濃度差が常に維持されなければなりません。


このため、細胞膜にあるイオンポンプがマグネシウムやカリウムを中に汲み入れ、カルシウムやナトリウムを外に汲み出すことで、この濃度差を一定に保っています。

このイオンポンプを動かしているのが、ATPアーゼと呼ばれる酵素群です。


このATPアーゼが十分に機能するためには、マグネシウムと結びついたMg-ATPが補酵素として必要です。

したがってマグネシウムが不足すると、ATPアーゼを必要とするイオンポンプもうまく働かず、細胞内外のミネラル・バランスを正常に保つことができません。


もしもカルシウムが細胞に過剰に溜まってしまうと…

●カルシウムの強力な生理活性のため、細胞が働きすぎて過労死してしまいます。
 細胞が死ぬと、ただのカルシウムイオンの固まりとなり、そこで石灰化を起こしてしまいます。
 血管内で石灰化すると動脈硬化の原因となります。
 腎臓で石灰化すると、腎結石や尿路結石の原因となります。
●活性酸素が大量に発生し、酸化ストレスが強まります。
●アルツハイマー症や糖尿病のリスクを高めるとも言われています。

このように、さまざまな深刻な問題が起きてしまいます。


骨を丈夫にするためカルシウムをたくさん摂るのはよいですが、細胞にカルシウムが蓄積しないようイオンポンプを常にしっかりと動かすために、マグネシウムの十分な補給を決して忘れてはいけません。





② カルシウムと拮抗し、カルシウム作用の効き過ぎを防いで体内機能を調整する


細胞内に過剰にカルシウムが溜まるとどうなるかというと…

・細胞が死に、石灰化を起こして動脈硬化や結石の原因となる。
・活性酸素が多量に発生する。
・アルツハイマー症や糖尿病を引き起こす恐れがある。


しかしこれだけではありません。
もう一つ、深刻な悪影響があります。

それは、

細胞内にカルシウムが蓄積すると、細胞が極度に収縮する

ということです。



カルシウムの過剰な蓄積 → けいれん・震え・高血圧・虚血性心疾患

カルシウムには、細胞を収縮させる作用があります。

常日頃から細胞は、手足の筋肉など随意筋ばかりでなく、心臓や消化器官など不随意筋の動きに当たっても、その器官の細胞が必要に応じてカルシウムを外部から汲み入れ自ら収縮することで、その部分の筋肉を動かしているのです。


一方マグネシウムは、この細胞のカルシウム量を調節することで、逆に細胞を弛緩させる働きをします。

一つ一つの細胞の収縮&弛緩の上手な繰り返しで、随意筋や不随意筋がスムーズに動くことができ、私たちの手足や内臓の正常な活動が可能になるわけですね。


ところが、マグネシウムが不足すると、細胞内のカルシウム量をうまく調節することができません。

いったん収縮のために汲み入れたカルシウムを、今度は外へ汲み出さなければ、細胞は収縮を緩めて弛緩することができなくなります。

ですので、マグネシウムが不足すると、手足や内臓の筋肉が脳の命令どおりにうまく動かなくなり、さまざまな不調が起こります。


例えば、手足にけいれん、震えなどが起こります。
また、血管壁の細胞が収縮すると、血圧が上がって高血圧になります。
さらに、心臓の筋収縮が異常に高まると、狭心症や心筋梗塞を引き起こす恐れが出てきます。


3.マグネシウムの効果的な摂り方を具体的にお教えします。


① カルシウムとマグネシウムはどれぐらいの割合で摂ればいいの?


カルシウムは私たちの体になくてはならない大切なミネラルですが、このカルシウムが理想的に機能するためには、同時に一定比のマグネシウムの存在が欠かせません。

カルシウムとマグネシウムの理想的な摂取比率は2:1だと言われています。


ただしマグネシウムは、現代人の生活スタイルでは非常に消費されやすくなっています。

例えば、コーヒーなどのカフェイン飲料や白砂糖、アルコールや精神的ストレスによっても体内のマグネシウムが多く失われてしまいます。

また、化学肥料の多用で土壌の栄養価が下がり、現代の野菜にはマグネシウムをはじめとする大切なミネラルが昔の約1/2しか含まれていないそうです。

さらに日本の水道水にはカルシウムの含有量が多いことも考えなければなりません。


そうすると、実際には、カルシウムとマグネシウムの必要な摂取比率は、

  Ca:Mg=1:1

ぐらいを目安に意識したほうがよいでしょう。


牛乳やチーズなど乳製品の摂りすぎは、カルシウム過剰に加えてマグネシウム不足に陥ってしまいます。

ナッツやドライフルーツ、海藻や大豆、玄米など、マグネシウムを多く含む食材を意識して日々の食事に取り入れるようにしてください。



② マグネシウムを多く含むのは、どんな食べ物?


マグネシウムの1日推奨摂取量
・成人男子:340mg
・成人女子:270mg

no-title

大豆、ひじき、ごま、玄米、アーモンド、煮干し。

ひじき等の海藻類は、いずれもマグネシウムを多く含みます。
特に含有量の高いのは“アオサ”で、100g中に3,200mgを含みます。

大豆をはじめとする豆類も、マグネシウム量の多い食品。
特に大豆は、茹でるなど調理しても含有量が減りにくいので、効率的にマグネシウムを摂取することができます。
ちなみに炒り大豆を粉末にした“きなこ”も、元の丸大豆以上にマグネシウムが多いです。

その他、ナッツ・種子類では、マグネシウムを最も多く含むものにヒマワリの種がありますが、一般的に身近なものでは、ゴマ、アーモンドが摂取源としてよいです。

魚介類では、煮干しや干しエビにマグネシウムが多く、丸ごと手軽に食べられるので、おすすめ。
その他、スルメも含有量が高いのですが、食塩が多い上にお酒も進みがちになるので、私はあまりおすすめしません(^^;)






nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

カルシウムの意外な働きと効果的な摂取方法とは?骨を強くする栄養素を120%詳解


no-title


骨を強くする栄養素の代表格と言えば、なんと言っても「カルシウム」ですね。

けれども、ビタミンKやマグネシウム等、ほかの大切な栄養素やミネラルを忘れてカルシウムばかりを一生懸命摂っていると、実はかえって骨がもろくなり“骨粗鬆症”を引き起こすことにもなりかねません。

この記事では、骨や体におけるカルシウムの大切な働き、カルシウムの不足や偏りがもたらす「カルシウム・パラドックス」の危険性、そしてカルシウムや他のミネラルをバランスよく摂るためにはどのような食事をしたらよいか…等、カルシウムを巡るあまり知られていない大切な知識についてもお話ししたいと思います。

【目次】

★見出しタイトルの一覧です。
ブログの仕様上、リンクはできませんが、スクロールして興味ある個所からご覧ください。

1.カルシウムが骨やからだを健康に保つ仕組み

① 骨に存在する“貯蔵カルシウム” の働き
② 血液や細胞に存在する“機能カルシウム” の働き

2.カルシウムが不足するとどうなるの?

① “機能カルシウム”の血中濃度は断固保持!その驚くべき身体の仕組みとは?
② カルシウム不足で骨がスカスカに…骨粗鬆症のリスク増大
③ カルシウム不足による「カルシウム・パラドックス」とは?

3.カルシウム不足に陥らないために気をつけたいこと

① 日本人は慢性的にカルシウムが足りない…どれぐらい不足しているの?
② 昔ながらの和食でバランスのよい食事を。

4.カルシウムとともに摂らねばならない大切なミネラルとは何?

① マグネシウム~カルシウムに拮抗して石灰化を予防
② カリウム~カルシウムの浪費を抑え、塩分も排出

5.カルシウムの効果的な摂取方法とは?

① カルシウムを多く含む食品を食べよう! 何があるの?
② カルシウムを補うのに牛乳がおすすめできない理由とは?

6.骨を強くする栄養素 関連記事のご案内




1.カルシウムが骨やからだを健康に保つ仕組み


① 骨に存在する“貯蔵カルシウム” の働き


「カルシウムは骨を丈夫にする」という一般常識のとおり、カルシウムは骨や歯の主要成分であり、リン酸カルシウムや炭酸カルシウムの形で9割以上を占めています。

特に、骨中に存在するリン酸カルシウムの中に “ハイドロキシアパタイト” があり、これは非常に硬い物質で骨の約70%にあたり、身体を支える骨格としての強度を保つ基盤となっています。


また、骨には「カルシウムの貯蔵庫」としての役割もあり、ごく少量ではあるが細胞や生体の機能にも欠かせないカルシウムを、不足時には血液中に供給するという働きもしています。


② 血液や細胞に存在する“機能カルシウム” の働き


no-title体内のカルシウムの99%は、骨に貯蔵されています。

しかし残りの1%は、全身の細胞内外に存在し、筋肉の収縮、脳や神経の情報伝達、血液の凝固など、生命維持に欠かせないあらゆる機能に関わっています。


例えば、筋肉を収縮させて身体を動かす動作は、カルシウムがトロボニンというタンパク質と結合することで起こります。

脳から神経を伝わってきた「筋肉を収縮させろ」という命令を受け筋繊維に放出されたカルシウムイオンが、通常は筋肉の収縮を抑制しているトロボニンと結合してこれを不活性化させることで、筋肉を動かすことを可能にしています。


また、神経の情報伝達のためには、アセチルコリンという情報伝達物質が細胞間を行き来することが必須です。

このアセチルコリンを細胞外へ放出するのがカルモジュリンと呼ばれるタンパク質ですが、このカルモジュリンと結合して活性化することにより、神経細胞間のメッセージのやりとりを可能にしているのがカルシウムです。


その他、血液が固まる作用は複数のタンパク質やカルシウムが次々と連鎖的に結合・活性化されることで起こります。


このようにカルシウムは、骨や歯の中ばかりでなく、微量ではありますが全身の血液や細胞内外に存在し、私たちの身体の日常的な生理機能に深く関わっています。

これらのカルシウムを、骨中の貯蔵カルシウムに対して「機能カルシウム」と呼び、これが不足すれば私たちは到底生きてはいけません。


2.カルシウムが不足するとどうなるの?


① “機能カルシウム”の血中濃度は断固保持!その驚くべき身体の仕組みとは?


血中や細胞内外に存在する機能カルシウムがいかに重要であるか、ここまで読んでお分かりいただけたことと思います。

要するに、機能カルシウムの血中濃度が必要量を下回ると、組織や器官におけるさまざまな生理機能が正常に働かなくなる恐れがあります。

ですので私たちの身体には、この機能カルシウムの血中濃度を厳密に管理・維持するための精巧なシステムが存在しています。


それは、もし食事など外からのカルシウム供給が少ないために血中のカルシウム濃度が低すぎる場合には、私たちの身体はそれを回復すべく、骨や歯に蓄えられている“貯蔵カルシウム”を取り出して全身に補給するというものです。

詳しく言えば、カルシウムの血中濃度が一定量を下回ると、副甲状腺ホルモン (PTH) が分泌されて、骨からカルシウムを溶かし出して血液中に放出する“骨吸収”という作用を促進します。

またPTHは、腎臓から尿とともに排出されそうになっているカルシウムの再吸収を促す働きもあります。

そして、カルシウム濃度が再び回復すれば、今度は甲状腺から別のホルモン (カルシトニン)が分泌され、 骨吸収を抑えてカルシウムを骨へ沈着させたり、カルシウムの尿中への放出を促したりします。


このように、生命の健全な維持に直接関わる“機能カルシウム”の濃度を、常に不足のない状態で保つようなシステムを私たちの身体は備えているのです。


② カルシウム不足で骨がスカスカに…骨粗鬆症のリスク増大


このように、血液中のカルシウムは必ず一定量を保持しなければならないため、少しでも不足があればすぐに骨の中から溶かし出されるように身体は機能しています。

つまり、食事からのカルシウムの摂取が少なすぎると、その分骨からカルシウムが取り出されて血中の機能カルシウムに回され、骨中のカルシウム量がどんどん少なくなり、骨はスカスカになりもろくなってしまうというわけです。


このような状態だと、例えばちょっと転んだだけで骨折したり、骨が砕けてしまいます。
これがいわゆる“骨粗鬆症 (こつそしょうしょう)”です。

そのため、骨を丈夫に保つには、機能カルシウムの不足により骨から過剰のカルシウムが溶かし出されることのないように、日頃から意識してカルシウムの多い食品を摂取することが欠かせません。


③ カルシウム不足による「カルシウム・パラドックス」とは?


また、カルシウムが足りない食生活を長く送っていると、血液中のカルシウム不足を防ぐために常に副腎皮質ホルモン(PTH)が分泌され続けることになります。

そうすると、骨に貯蔵されているカルシウムが絶え間なく溶かし出される一方で、血中には多くのカルシウムが溢れ、行き場を失った余分なカルシウムが血管内や組織に沈着して石灰化し、結石や動脈硬化・心疾患など深刻な生活習慣病の原因となります。


これが、カルシウムの摂取不足によって起こる「カルシウム・パラドックス」という状態であり、現代の食生活が招きやすい健康上の大きな問題となっています。

カルシウム・パラドックスとは、血管や内臓などカルシウムが溜まってはいけない箇所にカルシウムが溜まって問題を起こしているのに、肝心の骨にはカルシウムが足りなくなって骨が弱くなっている状態のことです。


3.カルシウム不足に陥らないために気をつけたいこと


① 日本人は慢性的にカルシウムが足りない…どれぐらい不足しているの?


カルシウムの摂取量自体は、むしろ日本人はずっと不足気味だと言われています。

一日に摂取すべきと推定されるカルシウムの必要量や推奨量よりも、実際に私たちが摂っているカルシウム量はかなり少ないのです。

例えば30~39歳の大人でみると、日本人は平均して推定必要量の約4/5、推奨量の約2/3ほどのカルシウムしか一日に摂取できていません。

(厚生労働省『日本人の食事摂取基準』『平成27年 国民健康・栄養調査報告』を参照)


② 昔ながらの和食でバランスのよい食事を。


カルシウムの効果を体内できちんと生かすためには、カルシウムだけではなく他の栄養素やミネラルもバランスよく摂ることが欠かせません。

特に、カルシウム・パラドックスを予防するのに関わりの深いミネラルとして、マグネシウムとカリウムが挙げられます(後に詳述)


これらのミネラルは、魚介類、ほうれん草などの野菜、昆布やひじきなど海藻、里芋やさつまいもなどのイモ類、大豆やいんげん豆、小豆など豆類、玄米などに多く含まれますので、こういった食品を意識して毎日の食事に取り入れることが大切です。

(カリウムは肉類にも多く含まれていますが、肉はしばしば過剰摂取に陥りやすく、下記『カルシウムを補うのに牛乳を飲むのがおすすめできない理由』で詳しく述べますように、高タンパク食がカルシウム・パラドックスを招く可能性が多くの研究からも示唆されている現状がありますので、カリウムの供給源としてはここではおすすめしません)


魚や野菜、海草、大豆食品 (豆腐や味噌) 等を最も効率的においしく食べられる食事と言えば、やはり昔ながらの和食でしょう。

このような食品からは、カルシウムも過不足なく摂取できます。


脂質も少なくヘルシー、さまざまな栄養素やミネラルがバランスよく摂れるメニューとして、魚の煮付けや野菜の和え物、海草や豆腐を入れた味噌汁といった伝統的な日本の家庭料理は、やはり多くの海外料理に比しても最も健康的で理想的な食事と言えるのです。


4.カルシウムとともに摂らねばならない大切なミネラルとは何?


カルシウムは、他のミネラルや栄養素とともにバランスよく連動して初めて、体内で順調に機能する成分です。

カルシウムとともに骨の健康をサポートするビタミンDやKも大切ですが、ここでは特に、カルシウム・パラドックスのリスクを低めるのに欠かせない2つの重要なミネラルについてご説明したいと思います。


① マグネシウム~カルシウムに拮抗して石灰化を予防


マグネシウムは、細胞内に流入するカルシウム量を適切に調節したり、少量でも強力に働くカルシウムの作用が行き過ぎないように拮抗し、過度の血管収縮や血液の凝固を抑えるという大切な役目を果たしています。

ですので、幾らカルシウムばかりをたくさん摂っても、マグネシウムの摂取が不足してしまうと、血管内の過剰なカルシウムが血管組織や細胞内に入り込むのを防ぐことができず、そこに沈着したカルシウムが石灰化してしまう「カルシウム・パラドックス」を招いてしまいます。


マグネシウムもまた、カルシウムと同じく大切な骨成分の一つです。
骨の健康を守るためにもマグネシウムの適度な摂取が欠かせません。

マグネシウムと骨&カルシウムとの関係については、下記の別記事に詳しくまとめてありますのでご覧ください。
マグネシウムはCaよりも意識して!骨を強くする栄養素を120%詳解


② カリウム~カルシウムの浪費を抑え、塩分も排出


また、カルシウム・パラドックスの原因の一つとして、タンパク質の摂りすぎ等により体内が酸性に傾いたとき、これを中和するために、アルカリ性であるカルシウムが骨から取り出されて使われることが推測されています。

そこで、食事からカリウムを適度に摂取することが勧められます。

食品中に含まれるカリウムには、カルシウムの代わりに血液中の酸を中和する働きがあるため、カルシウム・パラドックスを予防するために野菜や果物などカリウムを多く含む食品を積極的に食べるのが望ましいのです。


また、塩分に含まれるナトリウムの過剰摂取は、カルシウムの腎臓における再吸収を妨げてカルシウムの排出を促してしまうことが知られています。

そこで、塩分摂取を控えるとともに、このナトリウムの排出を促してくれるカリウムを適度に摂ることが、体内のカルシウム不足を避ける効果的な方法の一つです。


5.カルシウムの効果的な摂取方法とは?


① カルシウムを多く含む食品を食べよう! 何があるの?


no-title

大根葉、ひじき、ごま、煮干し。
牛乳に×印を付けてある理由は、後ほど説明します。


大根葉をはじめ、小松菜・ケール・水菜など緑色の葉物野菜にカルシウムは多いです。

それから、煮干し、干しエビ、めざし、しらすぼしなど乾燥させた魚介類。

また、ししゃも、わかさぎ、さばやイワシの缶詰など、骨ごと食べられる魚類はカルシウムがたくさん摂れます。


ひじきは、100g当たり1000mgのカルシウムが含まれていて、海藻の中でもトップクラスです。

ただし、一度に食べられる量が限られているので、他のカルシウム食材も併行して食べましょう。


ごまも、100g当たり1200mgの含有量で、他のナッツ類と比べても圧倒的。
しかし、やはり一度にたくさん食べられる食品ではありません。

野菜のお浸しやきんぴらに常にすりごまを和える、お豆腐にまぶすなど、食べ方はたくさんありますので、毎日少しずつ摂るようにしましょう。


② カルシウムを補うのに牛乳がおすすめできない理由とは?


カルシウムが摂れるといえば牛乳でしょ? と考える方も多いかもしれません。

しかしこの記事では、カルシウムを供給するために牛乳をたくさん飲むことは、決してお勧めしません。

その主な理由を2つ、次に述べたいと思います。

理由その1~牛乳にはタンパク質が多すぎる。

ご存じかと思いますが、牛乳は代表的な高タンパク食品です。

上にも少し触れましたが、タンパク質の過剰摂取はカルシウムの排出を促すことが指摘されています。

結果として牛乳を飲み過ぎるとかえってカルシウム不足を招く恐れがあります。


その機序としては、タンパク質から生じる含硫アミノ酸が血液を酸性に傾けるため、これを中和するためにアルカリ性であるカルシウムが骨から溶かし出され、そのまま排出される…ということが専門の科学者の間で推測されています。

これはまだ、科学的な根拠を持ってきちんと解明されたものではありません。
しかし、タンパク質を多量に摂ることにより、尿を通して排出されるカルシウムの量が増えることは、数多くの研究データによって事実と認められています。


あるいは似たような研究が世界各国にたくさん存在することから、中にはこの事実とは異なる結果が現れた研究も、探せば見つからないことはないです。

そのような数少ないデータを取り上げて、タンパク質の摂りすぎが骨に悪影響を及ぼすことを否定し、高タンパク食を擁護するサイトもちょくちょく見かけます。


また、専門家の中には「タンパク質を多く摂れば腸からのカルシウムの吸収がよくなるので、たとえ尿中の排出量が増えても相殺されるため、さほど問題ではない」と主張する方もいます。

けれども、本当に尿からの排出量と同程度に腸からカルシウムの吸収量が増えるのか、あるいはそれ以上なのか、以下なのか、その辺の度合いもはっきり分かっていません。


2007年に開かれた、FAO(国連食糧農業機関)、 WHO(世界保健機構)、UNU(国際連合大学)による合同専門家協議の中で、人体の栄養におけるタンパク質とアミノ酸の必要量について協議が行われ、その結果が報告されました。

その報告書の中で、タンパク質に含まれる含硫アミノ酸による酸負荷を中和するために骨中のカルシウムが利用される可能性の高いこと、そして、これらの酸を中和するアルカリ化作用の高いカリウムを多く含む果物や野菜の摂取が、骨の健康によい影響を及ぼすことが述べられています。

※参考:タンパク質とアミノ酸の必要量 FAO/WHO/UNU合同専門家協議
(リンク先の「WHO_TRS_935_jpn.pdf」をダウンロードしてください)


なお上記の報告書にも述べられているように、適度なタンパク質の摂取は骨の健康に有益です。

大事なのは、タンパク質ばかりを偏食しないこと、過度な量を摂らないこと、野菜など植物性食品も不足なく食べることです。


したがって、骨を始めからだ全体の健康を保つには、バランスのよい普通の食事で十分だということが分かります。

カルシウムを補給する目的でわざわざ牛乳を余分に飲むことは、タンパク質の過剰を招いてかえって骨を弱くしてしまうことにもなりかねません。


理由その2~牛乳には動物性脂肪も多い。現代の畜産事情にも多くの問題が…。

そもそも牛乳やチーズ、生クリームなどの乳製品には、肥満や動脈硬化の原因になりやすい飽和脂肪酸が多いので、できれば摂取を控えたい食品群の一つです。

また畜産業における現状を見ても、狭い飼育舎にすし詰めにした家畜に遺伝子組み換えや農薬漬けのエサを与え、絶えず抗生物質を投与されている…等、肉類だけでなく乳製品も決して安心・安全な食材とは言い難いように思います。


牛乳を飲むにしても飲まないにしても「牛乳=健康食品!」という図式からは脱却しておきましょう。

牛乳や乳製品には、他では味わえない独特の風味やコクがあり、それ自体はとても魅力的な食材です。


またタンパク質が豊富なゆえ、成長ホルモンの分泌を促し、骨量を増やす働きもあります。

特に成長期の子供にとっては、給食で出されるコップ1杯程度の牛乳を飲むことは、メリットも少なくないかもしれません。

けれども、特に成人した大人にとっては、過剰摂取にくれぐれも注意が必要です。


元から純粋に牛乳が好きでおいしく飲みたいという方は、ときどき嗜好品として飲む程度は構わないでしょう。

カフェオレにしたり、シチューやクリーム煮などお料理に利用するのもよいと思います。


ただ、従来から根強い「牛乳の健康食品説」なるものを固く信じるがために、毎日ノルマを決めて無理をして飲んだり、苦手なのに健康意識から習慣化したりする必要は全くありません。

それよりもむしろ、日頃の食生活をできるだけ和食に近づけたバランスのよいものにすることが、本当に健康な身体をつくるための一番確かな近道です。



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

骨を強くする栄養素を120%詳解!④ビタミンK不足は骨粗鬆症に直結。


no-title骨を健康に保つため、特に重要となるビタミンには、ビタミンD、ビタミンCと並んでこの「ビタミンK」があります。

一般には出血を止める作用で知られ「止血のビタミン」とも呼ばれるビタミンKですが、骨を丈夫にして骨粗鬆症や骨折のリスクを抑えるためにも、非常に大切な栄養素です

骨の中を筋状に通るコラーゲン繊維。
そこにカルシウムを沈着させるために欠かせないのが、このビタミンKです。

この記事では、

●ビタミンKが骨の健康に影響を及ぼすしくみ
●ビタミンKが不足すると骨や体はどうなるか。
●ビタミンKを過剰摂取するとどうなるか。
●ビタミンKを多く含む食品


について、詳しくまとめました。

骨を強くすると言うとカルシウムやビタミンCに気を取られ、ついつい見過ごしがちな栄養素の一つですが、ビタミンKの大切さをぜひ知っていただき、今後の食生活の参考にもしていただければと思います。

【目次】

★見出しタイトルの一覧です。
ブログの仕様上、リンクはできませんが、スクロールして興味ある個所からご覧ください。

1.ビタミンKは、どうやって骨を健康に保ってくれるの?

① コラーゲンとカルシウムを結びつけて骨を形成する“オステオカルシン”の生成を助けます。
② 骨からカルシウムやコラーゲンが溶け出すのを抑制します。

2.ビタミンKが不足するとどうなるの?

① 骨に関するビタミンKの欠乏症
② その他、ビタミンKの欠乏症
③ ビタミンKが不足しやすいのは、どんな人?

3.ビタミンKを過剰摂取するとどうなるの?
4.ビタミンKを多く含む食品は?
5.“骨を強くする栄養素”関連記事のご紹介







1.ビタミンKは、どうやって骨を健康に保ってくれるの?


① コラーゲンとカルシウムを結びつけて骨を形成する“オステオカルシン”の生成を助けます。


私たちの骨の25%は、“オステオカルシン”と呼ばれるカルシウム結合タンパク質でできています。

このタンパク質は、新しい骨をつくる働きをする“骨芽細胞”で合成されます。
その際に、ビタミンKは補酵素としてこの合成を助けます。
ビタミンKが不足すれば、このオステオカルシンをつくり出すことができません。


no-title骨はコラーゲンとカルシウムで成っていますが、よく鉄筋コンクリートの建物にたとえられます。

コラーゲンが建物を中心で支える鉄筋、カルシウムがそれを覆って強度を生み出すコンクリートだと言えます。

そしてオステオカルシンは、コラーゲンにカルシウムをくっつける“糊 (のり) ”の役割をします。

オステオカルシンがなければ、コラーゲンとカルシウムを結合させることができず、骨をつくれません。


またオステオカルシンには、体内のカルシウムイオンの動きを制御するなど、とても重要な働きがあります。

ビタミンKには、このオステオカルシンを活性化して、カルシウムが骨に沈着 (石灰化) するのを促進する作用もあります。



② 骨からカルシウムやコラーゲンが溶け出すのを抑制します。


no-title皮膚や筋肉と同じように、骨も常に新陳代謝によって生まれ変わっています。

まず、古くなった骨には“破骨細胞”がやってきます。

破骨細胞は、古い骨のカルシウムとコラーゲンを酸や酵素で溶かすことで、骨を壊します。

溶かし出されたコラーゲンとカルシウムは、血液中へと送り出されていきます。

そこに今度は“骨芽細胞”が新しいコラーゲンを生成し、上に述べた「オステオカルシン」を分泌します。

そうすると、血液中を運ばれてきたカルシウムが自然にそこに付着し、骨を形成するというわけです。

これが骨の新陳代謝、つまり“骨代謝”の大まかな流れです。


ビタミンKには、この破骨細胞の働きを抑制する作用があります。
つまり、骨からカルシウムが溶け出すのを抑えることにより、骨を丈夫に保つ効果があるのです。

さらに、血液中に流れ出たカルシウムが血管内で沈着・石灰化すると動脈硬化の元になりますが、この血管中でのカルシウムの石灰化を抑制する作用も、ビタミンKにはあります。



2.ビタミンKが不足するとどうなるの?


① 骨に関するビタミンKの欠乏症


no-titleビタミンKが不足すると、骨がもろくなって骨粗鬆症や骨折のリスクが高まります

上に述べたように、コラーゲンにカルシウムを沈着させるタンパク質“オステオカルシン”は、ビタミンKの助けを借りてつくられます。

ですので、ビタミンKが不足するとオステオカルシンの量も減り、骨に取り込まれるカルシウムの量が不十分になってしまいます。

骨に強度を与えるカルシウムが足りなくなると、骨は弱くスカスカになり、ちょっとした衝撃で折れたり破砕しやすくなるということです。


ビタミンKは、腸内細菌によって体内でもつくられています

しかし、骨を丈夫に保つためにはそれだけでは足りないことが、近頃の研究で明らかとなってきました。

特に現代では、私たち日本人の和食離れ、野菜離れが進んでいます。
ビタミンKを多く含む納豆・海藻・葉物野菜の摂取量も年々減少していますので、日頃の食生活にも注意が必要です。






② その他、ビタミンKの欠乏症


no-title「止血のビタミン」とも呼ばれるビタミンKには、血液を凝固させて出血を止める働きがあります。

このビタミンKが不足すると、外傷や内出血などケガの際になかなか血が止まらなかったり、鼻血が出やすくなるなどの症状が現れる場合があります。


ビタミンKは、腸内細菌によって体内でもつくられます。

ですので、出血を止める作用のみを考えた場合、新生児やワーファリン(血栓防止用の血液凝固を抑制する薬)を服用しているケースを除き、普通の生活ではビタミンKが欠乏することはほとんどないと言われています。

ただし、骨を十分に強くしようと思えば、やはり体内でつくられるビタミンKのみでは足りず、日頃の食事から積極的にビタミンKを取り入れる必要があります。


③ ビタミンKが不足しやすいのは、どんな人?


妊娠・授乳期の女性は、胎児や赤ちゃんのためにビタミンKを特に多めに摂るべきです。

no-title赤ちゃんはまだ腸内細菌が定着していないため、体内で十分な量のビタミンKをつくり出すことができません。

また、母乳にはビタミンKの含有量が少ないと言われます。

そのため、赤ちゃんは頭蓋内出血や新生児メレナ (消化管出血) などのビタミンK欠乏症にかかることがあります。

これを防ぐため、日本の産婦人科ではビタミンK2シロップが新生児に与えられるのが一般的です。

しかし妊婦さんや授乳婦さんのほうでも、特に 納豆・緑色の葉物野菜・海藻類 を積極的に食べ、ビタミンKが不足しないよう十分に注意を払ってください。



3.ビタミンKを過剰摂取するとどうなるの?


天然のビタミンKに関する過剰症は、今のところ報告例がありません

そのため、体に蓄積されやすいと言われる脂溶性ビタミンでありながら、厚労省「日本人の食事摂取基準」においても、ビタミンKについては耐容上限量は定められていません。

※ 耐容上限量:一般人においては健康障害をもたらす恐れがないとみられる、1日の栄養素摂取の最大限の量。逆に言えば、この“耐容上限量”で定められた量以上を摂取すると、過剰症を発する恐れがあるという意味です。


ただし、動脈硬化や高血圧などでワーファリン(血栓防止用の血液凝固を抑制する薬)を服用されている方には、血を固める働きのあるビタミンKの摂取を制限される場合があります。



4.ビタミンKを多く含む食品は?


no-title

ビタミンK1は、植物の葉緑体でつくられます。
そのため、野菜・緑茶など、緑の濃い植物、特に葉物に多く含まれています。
代表的なものとしては、大根葉・こまつな・ほうれんそう等ですね。


no-titleまた、ひじきや海苔など、海藻にもビタミンKは豊富です。

ただし、一度にたくさんの量を摂るのが難しいので、味噌汁や煮物など昔ながらの日本の食事メニューの中で、納豆や野菜類と併行して毎日少しずつ食べるとよいでしょう。

ビタミンK2は微生物によってつくられるので、納豆が最も身近で効果的な供給源となります。


ビタミンK1もK2も、体内では同じ働きをします。

ビタミンKは私たちの腸内細菌によってもつくられますが、このビタミンKを消化管から吸収することが難しいため、やはり食品からも適切に摂取する必要があるようです。










nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

骨を強くする栄養素を120%詳解!③リンの過剰摂取で骨粗鬆症の危険大


no-title
リン (燐) のプロフィール
英語で "phosphorus"
元素記号:P 原子番号:15 原子量:30.97
リン (燐) は、ヒトの体になくてはならない大切なミネラルです。

体内でカルシウムに次いで2番目に多く、成人体重の約1%を占めます。

細胞膜やDNAの構成材料となるなど、細胞そのものの存在に欠かせません。

また、脂質や糖質の代謝を補助したり、エネルギーを生み出す元となるなど、人間ばかりでなくあらゆる動植物に最も基本的な生命活動に必須のミネラルです。


にもかかわらず、食がビジネスの手段となり、あらゆる加工品として流通している特異な食環境にある現代では、むしろリンの過剰摂取が大変問題視されています。


この記事では、

●リンの骨における役割とは?
 その他、体内でどんな重要な働きがあるの?
●なぜ現代、リンの過剰摂取が問題になっているの?
●リンを過剰摂取すると、どうして骨粗鬆症になるの?
 その他、リンの過剰摂取による症状や危険は何?


これらの疑問に分かりやすくお答えしたいと思います。





【目次】

★見出しタイトルの一覧です。
ブログの仕様上、リンクはできませんが、スクロールして興味ある個所からご覧ください。

1.リンの、生命体に欠かせない大切な役割とは?

① リンの、骨における働き
② その他の器官での働き

2.なぜ現代は、リンの過剰摂取になりやすいの?

原因① タンパク質の多い食生活
原因② 食品添加物にはリンが多く使われている

3.リンの過剰摂取はなぜよくないの?

① 骨が弱くなり、骨粗鬆症を招く
② 骨以外の場所にリンが蓄積してしまう
③ カルシウムの吸収を妨げる

4.リンとカルシウムの理想的な摂取比率は?
5.“骨を強くする栄養素”関連記事のご紹介




1.リンの、生命体に欠かせない大切な役割とは?


① リンの、骨における働き


no-title体内にあるリンの約8割が、マグネシウムやカルシウムと結びついて「リン酸マグネシウム」や「リン酸カルシウム」として存在し、骨や歯などを形成しています。

特にリン酸カルシウムは、“ハイドロキシアパタイト”と呼ばれる非常に硬い物質の成分であり、骨の強度を保つのに欠かせません。

またマグネシウムは、骨にしなやかさや柔軟性を与えるのに不可欠であり、リンと結合してリン酸マグネシウムの形ではじめて骨の中に存在することができます。

つまりリンは、ヒトの体重を支え動きを助ける“骨格”を形成するのに欠かせないミネラルなのです。




② その他の器官での働き


体内に含まれるリンの残り2割は、たんぱく質や脂質、糖などと結合した有機リン酸化合物として、筋肉、神経、脳、肝臓、その他あらゆる器官や組織に存在します。

<リンの、骨以外の器官における大切な働き>

① 細胞膜のリン脂質や核酸 (DNA・RNA)の材料となる。
 特に脳細胞の高度でスムーズな働きには、リン脂質が欠かせない。
② ビタミンB群の補酵素となり、糖質や脂質の代謝を促進する。
③ リン酸塩として、血液や体液の酸・アルカリを調整し、からだを中性に保つ。
 浸透圧を維持する。
④ 体の動きや器官の働きに必要なエネルギーを生み出す“ATP(アデノシン三リン酸)”の構成材料となる。



①について、細胞膜や核酸など、細胞単位で中心的な重要なパーツをリンは構成しています。

no-title特に④について、細胞は“ミトコンドリア (←画像イメージ)と呼ばれる器官で、糖と塩基とリン酸からATPをつくり出し、これを分解することで、生命活動の根源となるエネルギーを放出しています。

ですのでリンが不足すると、体内のあらゆる生理機能が正常に維持できません。

新陳代謝も低下し、骨や筋肉が衰え、からだも慢性的なだるさを抱えてしまうことでしょう。






2.なぜ現代は、リンの過剰摂取になりやすいの?


上に述べたように、生命体にとって非常に重要なリンは、不足するとさまざまな不調に陥ります。

<リンの欠乏症の例>
食欲不振、骨軟化症、くる病、筋萎縮、溶血性貧血、低リン酸血症 etc.


けれども現代は、むしろ リンの過剰摂取 が心配されています。

その原因は、主に2つあります。




原因① タンパク質の多い食生活


no-title近頃は、タンパク質の多い食事が一般的になってきました。

その一方で、野菜や海藻の食物繊維・ビタミン・ミネラル不足が心配されます。

リンは、肉・魚・卵・牛乳・豆など、タンパク質食品に多く含まれています。

特に食生活が洋風化し、肉類や乳製品をたくさん食べがちな私たち現代人は、リンも多く摂取しがちです。




原因② 食品添加物にはリンが多く使われている


no-title加工食品やコンビニ弁当に使われる食品添加物には、リンが使われているものが数多くあります。

リン酸塩 (Na、K) やメタリン酸は、食品の粘着度を高め固まりやすくする結着剤や酸味を増す酸味料として、ハムやソーセージなど加工肉から惣菜、清涼飲料水・菓子・スナックに至るまで、あらゆる食品に頻繁に使用されています。


このようなことから、リンは必須ミネラルでありながら、不足よりもむしろ摂りすぎに気をつけねばならない成分です。



3.リンの過剰摂取はなぜよくないの?


リンを多く摂りすぎると、主に次のような3つのことが心配されます。


① 骨が弱くなり、骨粗鬆症を招く


no-title骨を硬く丈夫にするためのリンであるはずなのに、過剰摂取はかえって骨を脆くしてしまいます。

その理由は、人間の体はリンとカルシウムのバランスを一定に保とうとする働きがあるからです。


血液中のリンとカルシウムの比率は、およそ3:10~7:10で保たれていると言われます。

このバランスが崩れてリン濃度が高くなりすぎると、カルシウム濃度を高める働きのある 副甲状腺ホルモン が多く分泌され、骨に蓄えてあるカルシウムを血液中に溶かし出してしまいます。

そうなると骨の中のカルシウムが減って骨密度が低下し、骨が弱くなってしまうということです。




② 骨以外の場所にリンが蓄積してしまう


血液中にリンやカルシウムが溢れると、結びついたリン酸カルシウム (=ハイドロキシアパタイト) が、血管や臓器など、骨以外の場所に沈着し、石灰化します。

これを「異所性石灰化」と呼びます。
本来石灰化すべき骨とは異なる場所で石灰化するため、このように言われます。


この異所性石灰化は、血管をはじめ腎臓、心臓、肺、筋肉、関節など、全身のあらゆる組織や器官で起こり得ます。

例えば腎臓で石灰化が起これば、腎臓結石や尿道結石を引き起します。

筋肉や関節が石灰化すれば、炎症を起こして痛みを伴い、思うように動かせなくなります。

俗に言う“四十肩”や“五十肩” (中年以降に肩が痛んで腕が回らなくなる) の原因の一つとして、肩の筋肉や関節に石灰が溜まったために起こるものがあります。


no-titleまた、血管内に石灰が溜まって沈着すれば、血管を狭くしたり硬くしてしまいます。

そうすると、動脈硬化や梗塞 (こうそく:血管が詰まり血液が流れなくなる) を引き起こす原因となります。




③ カルシウムの吸収を妨げる


カルシウムは通常、「リン酸カルシウム」「炭酸カルシウム」「乳酸カルシウム」「シュウ酸カルシウム」のように、『○○酸カルシウム』という塩 (えん) の形で、他の成分との化合物として食品に含まれています。

それが胃に入ると、胃酸の働きで分解されて単独のカルシウム (カルシウムイオン) となり、そうして初めて腸から体内に吸収されるのです。

つまりカルシウムは「○○酸カルシウム」という化合物のままでは、体内に吸収することができないのですね。


ところがリンをたくさん摂取すると、せっかく胃で分解されてイオン化したカルシウムと再び結合してリン酸カルシウムとなってしまうため、腸からのカルシウムの吸収を妨げてしまいます。

その結果、リンを過剰摂取するとカルシウム不足となり、骨が弱くなる原因となってしまいます。






4.リンとカルシウムの理想的な摂取比率は?


上で述べたように、リンを過剰に摂取してカルシウムが不足してしまうと、血液中のリンとカルシウムの適切な濃度割合を維持するために骨からカルシウムを溶かし出してしまうので、骨密度が低下して骨がもろくなってしまいます。

リンとカルシウムの理想的な摂取比率は、「1:1」だと言われています。


no-titleリンの過剰摂取に陥らないためにも、肉や卵、牛乳やチーズが多く使われている洋食中心のファミレスやファストフードの食事、また食品添加物の多いレトルト食品やコンビニ弁当、スーパーの惣菜などはなるべく控えましょう。

そして、なるべく昔ながらの和食中心に食生活を切り替え、小魚や海藻、緑黄色野菜などカルシウムの多い食材を積極的に摂るようにしましょう。


ちなみに牛乳は、カルシウムが多いと言われる食品の代表格ではありますが、乳糖の影響で肝心のカルシウムの消化吸収が悪く、また中性脂肪や悪玉コレステロールをつくりやすい飽和脂肪酸も多いので、私としてはあまりおすすめしたくありません




nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康
Copyright © ナイス!トピックス All Rights Reserved.
当サイトのテキスト・画像等すべての転載転用、商用販売を固く禁じます
Designed by KAETENテンプレート

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。