今月末、千葉県の中古船の漁網の中から白骨の遺体が発見され、これが、9年前に行方不明となり、特定失踪者とされていた小山修司さんのものだと明らかになったそうです。
※ 画像はイメージです。
ご存じだと思いますが、「特定失踪者」とは、北朝鮮による拉致被害の可能性を排除できない日本人失踪者のことです。民間団体の特定失踪者問題調査会が調査して公表し、リスト化しています。
つまり小山修司さんは、行方不明になった約十年前から、北朝鮮の工作員に誘拐されたのかもしれないと考えられてきたわけですが、真相はそうではなく、操業中に漁網に巻き込まれる事故によって亡くなり、今日までそのまま気づかれずにいた、ということのようです。
小山修司さんが行方不明となった当時、捜査に当たった海上保安本部は、無人となっていた小山さんの船の航行記録が途中で消えるなどしていたことから、海への転落事故と判断し、船の内部の調査をしなかったということです。
それにしても…私たち一般人が聞いただけでも、ちょっと複雑な思いですよね。
この約十年の間、ご遺族やご友人の方々はどんな気持ちだったでしょう。
「本当に北朝鮮に連れて行かれたのか?」
「では、まだ生きているのだろうか?」
「どうして、よりによってあの人が拉致されなければならないの…?」
毎夜、煩悶のために眠れなかったのではないでしょうか。
それが、今になって、こんな形で全てが明らかになるとは…。
北朝鮮による拉致問題そのものも、一刻も早く解決に向かわねばなりませんが、この事例のように、現在「特定失踪者」に指定されている271人の中にも、別の偶発的な事故や、全く関係のない国内事件によって行方の分からなくなっている方が数多くいるのではないかと考えられます。
もちろん、「特定失踪者」=拉致被害者ということではないので、当然といえば当然ではありますが。