2017年1月29日の「ミライ★モンスター」で特集された、空手界の期待の新星、高校生の梶村侑哉
(かじむらゆきや) さん。
岡山県在住の高校3年生。
身長170cm、体重68kg。
昨年のインターハイで見事に優勝。
日本発祥の競技「空手道」がやっと正式種目に決まった、2020年の東京オリンピックを視野に入れ、日本代表獲得と世界一の座を夢見て、毎日、猛特訓を重ねています。
今回の記事では、そんな梶村選手に密着したミライモンスターの放送を元に、彼のこれまでの経歴と実力について、そして昨年12月に行われた全日本空手道選手権での見事な戦いぶりをまとめてみたいと思います。
【目次】
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1.梶村侑哉さんの空手道における経歴―子どもの頃からすでにビッグな存在でした。
① 天才の名をほしいままにした小学時代
② 空手の名門高校にスカウトされ入学 ― ついに日本一に
2.空手のルールについて、初めての方にも分かりやすく説明します。
3.これが梶村選手の必殺技!3ポイント取れる○○技で一気に逆転も可能。
① 梶村選手の持ち味と得意技
② 梶村選手の究極の必殺技とは?
4.オリンピック代表への試金石、全日本空手道選手権とは?
① 全日本空手道選手権とは、どんな大会?
② 全日本選手権を勝ち抜くため、梶村選手が超えねばならない3つの壁とは?
5.いよいよ全日本選手権へ―東京五輪へ夢を賭け、シニアの舞台へ初挑戦!
① 団体組手1回戦 ― 梶村侑哉(香川) vs 三浦銀太(山梨)
② 個人組手1回戦 ― 梶村侑哉 vs 三浦銀太
③ 初めての全日本選手権を終えて
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1.梶村侑哉さんの空手道における経歴―子どもの頃からすでにビッグな存在でした。
① 天才の名をほしいままにした小学時代
梶村選手は、小さい頃から仮面ライダーが大好きだったとか。
そんな彼にお父さんが勧めたのが、日本の伝統的な武術“空手道"です。
なんとわずか3歳から、空手を習い始めました。
小学生時代には、全国ベスト8に2度も輝き、地元では天才とまで呼ばれる存在だったそうです。
② 空手の名門高校にスカウトされ入学―ついに日本一に
2014年、空手の名門である香川県の私立・高松中央高校に、県外から入学しました。
梶村選手は、毎朝6時に家を出発、JR等を乗り継いで瀬戸大橋を渡り、1時間半かけて通学しています。
空手部を率いる崎山幸一
(43歳) 監督は、かつて世界選手権の日本代表としても活躍したキャリアを持つ名将。
高松中央高校を、四国大会11連覇、インターハイ22年連続出場へと導き、空手道の超名門校にまで成長させました。
部員は皆、崎山監督が直々に足を運んでスカウトしてきたメンバーばかり。
そして梶村さんも中学時代、岡山県での練習試合の際に崎山監督の目に留まり、声をかけられた一人です。
崎山監督によれば、すごくガッツのある戦いぶりが非常に印象的で、練習を重ねればもっと強くなると感じたとのことです。
この高松中央高校の空手部で、同じく一流の仲間たちと名監督のもと、毎日練習に励んでめきめきと力を付けました。
1年生にして早くも全国3位に入賞。
そして3年生となった2016年のインターハイ全国大会では、初めて決勝を制し、見事に日本一となりました。
そしてその特典として、シニアの実力者たちの大会である全日本空手道選手権に、特別枠として高校生ながら参加を認められました。
ここで注目されるような大きな活躍を見せれば、2020年東京オリンピック代表選手に選ばれるのも夢ではないかもしれません。
2.空手のルールについて、初めての方にも分かりやすく説明します。
空手道には、演舞である「形
(かた) 」、そして格闘技形式である「組手
(くみて) 」と呼ばれる2種類があります。
ここでは、梶村選手が挑む「組手」のルールについて、簡単に解説します。
※番組の内容および全日本空手道連盟の組手競技規定を参考にしています。
選手が1対1で試合を行います。
試合時間は、ジュニアで2分、成人男子で3分。
先に8ポイント差を取るか、もしくは試合時間終了時に多く得点したほうが勝者となります。
主に手や足による打撃技でポイントを奪い合う競技です。
つまり、パンチ
(=“突き”や“打ち”) やキック
(=“蹴り”) による攻撃です。
これを、気力と体勢が十分な状態で行い、しかも
寸止めしなければなりません。
突きや蹴りに力が入りすぎると、反則と見なされることもあります。
相手の体のどこでも攻撃してよいわけではなく、有効となる部位は頭・胸・背中の3ヶ所です。
これらの条件を全て満たした攻撃ができたとき、審判員に認定されれば、その技に応じたポイントが入ります。
空手のルールでは、相手の体の頭と首を「上段」、肩から腰までを「中段」、腰から下を「下段」と呼びます。
下の表に、全日本空手道連盟の競技規定を参考に、組手の得点ルールを大まかにまとめました。
ポイント数 | 呼び名 | 技の内容 |
1ポイント | 有効 | ・上段か中段への突きや打ち |
2ポイント | 技あり | ・中段への蹴り ・背面への突き ・相手を崩して得点したとき ・その他(省略) |
3ポイント | 一本 (いっぽん) | ・上段への蹴り ・投げ技や足払いで倒したあと、上段か中段への突きや打ち |
3.これが梶村選手の必殺技!3ポイント取れる○○技で一気に逆転も可能。
① 梶村選手の持ち味と得意技
空手における梶村選手の持ち味は、優れた動体視力によるディフェンスの巧みさです。
つまり相手の素早い攻撃も瞬時に見切り、うまく交わすことができるので、そこからカウンター攻撃に転じて得点するパターンを最も得意としています。
2016年、高校3年で日本一を制したのときのインターハイでは、特にそれが際立ちました。
決勝では、相手からの上段への攻撃を2度も交わし、その後どちらもカウンターを決め、2対0で勝利を収めました。
またこの全国大会では、初戦から全ての試合を通じ、ほぼ無失点で勝利を収めています。
② 梶村選手の究極の必殺技とは?
生まれながらの目のよさを生かした抜群のディフェンス力は、さらなる強力な武器を梶村選手にもたらしました。
それは、投げ技から倒した相手に突きを決め、一本(いっぽん)を取るというもの。
まず投げ技で相手を倒すには、相手に体を密着させねばなりません。
通常、相手はそんな隙をなかなか見せてくれませんが、突きや打ちなど攻撃の直後には、どうしても体が大きく開いてしまいます。
相手の突きや打ちを素早くよけることのできる梶村選手は、このタイミングを逃さず一瞬で相手の懐に入ることが可能です。
そしてあっという間に相手を倒し、上段や中段に突きを決め、一気に3ポイントを獲得するのです。
4.オリンピック代表への試金石、全日本空手道選手権を迎えて
①全日本空手道選手権とは、どんな大会?
インターハイ優勝により、シニア対象の全日本空手道選手権への高校生特別枠を見事に勝ち取った梶村選手。
3年後に控える東京オリンピック出場を夢見る梶村さんにとっては、日本代表への足がかりとなる可能性を秘めた重要な大会となります。
全日本空手道選手権大会は、全日本空手道連盟が毎年12月に日本武道館で開催しています。
地方予選を勝ち抜いたシニアの強豪32名が出場し、国内一をかけて覇を競い合う大会です。
当然ながら現役の日本代表選手も多く名を連ねており、日本チャンピオンとはいえまだ高校生である梶村選手には、厳しい戦いが予想されました。
②全日本選手権を勝ち抜くため、梶村選手が超えねばならない3つの壁とは?
(1) 並み居る強豪たちがぞくぞくと出場
脂の乗っている現役の日本代表選手が幾多も出場してくる全日本選手権。
中でも特に抜きん出た実力者は、京都代表の荒賀良太郎
(26歳) 選手です。
荒賀選手は、圧倒的なスピードを生かした攻撃で次々と相手をなぎ倒し、「スピードドラゴン」の異名を取る現世界チャンピオン。
高校時代は、全日本
(インターハイ・全国選抜・国体) 8冠にして無敗。
19歳で全日本選手権に出場、史上最年少にして初優勝を果たし、その後も3度、優勝を重ねています。
海外においても、
・「第二のオリンピック」と言われるワールドゲームスで、2013年に金メダル。
・2012年と2014年の WKF 世界選手権で、2大会連続の銀メダル。
・2016年、WKF 世界選手権において、全試合無失点で金メダルを獲得。
という輝かしい戦績で、初めて空手が公式種目として採用される次期東京オリンピックでも、金メダルの最有力候補です。
その他、経験豊かな年上の強豪たちが揃い、オリンピック出場を目指す梶村選手の行く手に立ち塞がっています。
(2) 全日本選手権は、無差別級。
空手の世界大会には、オリンピックも含めて体重ごとに階級が設けられていますが、この全日本選手権は無差別級の試合です。
つまり、大柄で力の強い選手とも対等に組み合わなければなりません。
例えば今大会出場中、最も体が大きいのは、日本代表候補の香川幸允
(ひでよし) 選手で、身長193cm、体重110kg。
一方の梶村選手は、身長170cm、体重68kg。
平均的なシニア選手と比べても、決して体格の大きなほうではなく、やはり不利だと言わざるを得ません。
(3) シニアの戦いでは、ヘッドギア等の防具なし。
これまでのジュニアの戦いでは、常にヘッドギアに頭部を守られての試合でした。
しかし今回初めて、防具なしで本番の組手に臨むことになります。
このようにあらゆることが初経験となる厳しい環境で、梶村選手は現役の日本代表やそれに匹敵する実力を持つ大人の選手たちと対峙し、しかも東京オリンピックへ向けて自らの力をアピールしつつ勝ち進まねばなりません。
5.いよいよ全日本空手道選手権へ―東京五輪へ夢を賭け、シニアの舞台へ初挑戦!
今季で第44回目を迎える全日本空手道選手権は、12月10・11日に行われました。
場所は、武道の聖地と呼ばれ、東京オリンピックでも空手道の会場に指定された、日本武道館です。
初日の都道府県対抗団体戦では、梶村選手は香川県代表の一人として出場しました。
対戦相手はいきなりですが、日本代表メンバーの一人、山梨県の三浦銀太
(21歳) 選手です。
三浦選手は帝京大学の3年生。
従来の空手の枠に囚われない変幻自在の蹴り技が得意な選手で、いわゆるトリックスターと呼ばれ、戦いにくい相手と言えるでしょう。
そして何とも奇遇なことに、翌日の個人戦でも梶村選手はこの三浦選手と初戦で当たることになりました。
名実ともに日本代表の実力者、3歳年上の三浦選手との2回にわたる対戦で、梶村選手はどのように戦い、そして何を学んだのでしょうか?
① 団体組手1回戦 ― 梶村侑哉(香川) vs 三浦銀太(山梨)
序盤から積極的に攻めてくる三浦選手に対し、梶村選手は自らの持ち味を発揮し、実力どおりの見事なカウンターで応戦します。
初のシニア大会挑戦とは思えないほど好調な戦いぶりで 3対1の勝利を収めました。
団体戦としては、残念なことに香川県は1回戦で敗退。
しかし梶村選手自身は、翌日の個人戦へ大きな弾みを付け、幸先のよいスタートを切りました
② 個人組手1回戦 ― 梶村侑哉 vs 三浦銀太
前日からの勢いで、日本代表選手を相手にぜひ二度目の勝利を挙げたい梶村選手。
一方、同じ高校生に連敗するのはプライドの許せない三浦選手。
双方の思いを賭けて、個人戦の1回戦が始まりました。
三浦選手は前日の作戦を変更し、容易に攻撃に出てこず、むしろ迎撃態勢で待ち構えます。
梶村選手の巧みな投げ技も強引に潰し、逆にカウンターを決めてくるなど、日本代表候補としてのキャリアを存分に生かした戦いぶりを見せてきました。
こうしてついに梶村選手は先制点を取られてしまいます。
焦った梶村選手は、自分の本来のスタイルに頼ることができず、どうしても相手より先に前へ出てしまいます。
そこをさらにカウンターで攻められ、相手に追加点を許してしまいました。
それでも、必殺の投げ技による一本で逆転を狙い、最後まで諦めずに挑みつづける梶村選手。
しかしそのまま決めることができず、結局0対2で敗北しました。
③ 初めての全日本選手権を終えて
「先制されて取り返せないというのが以前からの自分の課題だったので、その課題がまた残った試合だったなと思います。負けて悔しいです」と梶村選手は試合後に語りました。
しかし、初めて日本代表選手と拳を交えたことで、新たな目標も見出したようです。
「まずは4月にU-21(21歳以下)日本代表チームに入り、世界大会やオリンピックで活躍できるような選手に、そして世界チャンピオンになれるよう頑張ります 」
敗戦したとはいえ、現役の日本代表候補から一度でも勝利を挙げたことで、将来への大いなる可能性を示すことができました。
梶村侑哉選手の今後のさらなる活躍へ、周囲の期待も大きく高まりそうです。
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